はじめに
こんにちは!ドラマーの辻川郷です。本日は同期演奏についてお話したいと思います。同期演奏とは、あらかじめ作っておいた音源と生演奏を合わせて (音源と生演奏を「同期」させて) 演奏する方法です。
同期演奏とは?
先ほども言った通り、同期演奏とは、あらかじめ作っておいた音源と生演奏を合わせて (音源と生演奏を「同期」させて) 演奏する方法です。最近のライブではほぼ当たり前の様に使用されるようになってきました。
というのも、最近の楽曲は主にDAW上で制作されることが多く、Vo. Gt. Ba. Key. Drのような一般的やロックバンドの編成では出せない音 (ストリングス、シンセサイザー、ブラス、オーケストラ、パーカッション等々) をいとも簡単に入れられてしまうのですね。それをCDやサブスクなどで販売し、さあこれをライブで演奏するぞとなったときに、4リズム (Gt. Ba. Key. Drの一般的なバンド編成のこと) の編成では到底再現できない。ではどうするか。そんなときに同期演奏の登場です。
同期演奏のやりかた
同期演奏のやりかたについて説明します。同期演奏のやりかたにはたくさんあるので、ここでは僕がやっている方法をお伝えします。僕の場合はPCから同期音源を流しています。
ライブで流す音源を作る
まずはこの4リズム以外にライブで出したい音を音源として作成しておきます。これはPCに限らず、MTRで流す場合でもiPad等で流す場合でも共通です。バンドで出す以外の音を音源に入れておけばいいのですが、
・パーカッションの音は入れておくのか、抜いておくのか。
・ギターはリードを入れるのかバッキングを入れるのか。
・アコギの音は入れておくのか、抜いておくのか。
・ベースは抜くけどシンベは入れておくのか。
・シンセ、オーケストラ、ブラス、、、、何を入れて何をキーボーディストが弾くのか。
等、本当に考えることがたくさんです。これが得意なバンドメンバーがいると本当に助かります。僕はてんでダメです。あんな大量のトラックのミックスなんて、、、文字通り何が何やらさっぱりです(笑)超強力なPCがあるならミックスした後バウンスせずにパラデータのまま流す方法もありますが、おそらくノートPCを持ち込むと思うので、現実的ではないですね。ということでここはいつも有識者に任せてます(笑)ここについて詳しく知りたい人はそういう人の情報を当たってください(^^)
クリック音を作成する
逆に言えば音源ができあがれば、あとはそれをライブで流しながら演奏するだけです。ですが、それまた結構大変です。
同期演奏は一度音源を流したら基本的には流しきりです。つまりドラマーは、ベースがヨレようが、ギターがミストーンを弾こうが、ボーカルがハシりまくろうが、基本的には同期音源に合わせて演奏しないといけません。ライブ特有のそういうのに合わせてドラムが寄り添うと同期音源とズレます。同期音源は流しきりなのでこちらの演奏が速くなったり遅くなったりしても当然合わせてくれません。アンサンブルが崩壊します。なので同期音源と演奏する場合は、必ず同期音源とまさに「同期させて」演奏する必要があるのです。
そしてそれを可能にするのがクリックです。クリック無しで同期音源と合わせるのは至難の業です。(同期演奏黎明期の頃、友人のバンドのドラマーは、コロガシから爆音で同期音源を返して気合でそれをやってる奴はいましたが笑)なのでクリック音を作成する必要があります。
クリック音を作成するには主に2つのやり方があります。
・DAWソフトのクリックを使う。
・パーカッションなどの音源を使ってクリック音を作成する。
この2つのやり方を説明します。
DAW上のクリックを使用する
これはDAWソフトで録音するときに使うDAWのクリック音をそのまま同期演奏に使う方法です。これは新たに音源を買う必要もなく、DAW上でテンポを設定すればすぐに利用できる方法で、一番お手軽と言えます。これをイヤモニ側に流れるように設定し、外音側には流れないように設定します。このやり方については後述します。
パーカッションなどの音源を使ってクリック音を作成する
これはクリック音を、カウベルやタンバリン、クラベスなどのパーカッション音源を使って作成する方法です。わざわざ音源を作成することになるので、当然DAWソフトのクリック音を使う方法よりも手間は増えます。ですが、クリック音というのは意外と好みが分かれるもので、DAWソフトのクリック音が気に入らない場合、こちらの方法を使うことになります。
同期演奏の場合、基本的には(そうでない場合もありますが)演奏中はずっとクリックを聴いていることになります。それが長い間聴いていると耳が疲れるような音だったり、自分の気に入らない音だったりした場合、これはかなり不快です。ワンマンライブなどの場合だと長い場合だと2時間くらい、気に入らない音を聴き続けるのはかなり苦痛であるというのはお分かりいただけると思います。
DAWソフトのクリック音は多くの場合デジタル音であるので、アコースティックな響きのクリック音にしたい場合、おのずとカウベルなどの音源を使って自分でクリック音を作成することになります。自分の使うDAWソフトに好みのパーカッション音源がない場合、音源を購入する必要も出てきます。
また、当然曲ごとにテンポは違うので、曲ごとのクリックトラックを作成する必要があります。
ですが、曲の途中でテンポが変わる曲や、曲の合間に「1.2.3.4」などのカウントを入れたりする場合は、この方法は非常に便利です。よく外国人ドラマーのインスタなどで見るのが、フィルが入る前にカウントが入っていたりブレイクの前にカウントが入っていたりするものですね。絶対に間違えられないライブなどではかなり有効だと思います。当然作成にはそれ相応の時間と労力がかかります(笑)
DAW上で走らせる準備をする
同期音源とクリックが作成出来たら、それらをDAW上で走らせましょう。先述したように同期演奏の場合、音源を一度流したらその同期音源に合わせて演奏しなければなりません。音源のテンポをしっかり確認しておきましょう。1bpmでも間違えれば気持ちよく演奏できません。
まず、4つのアウト端子があるオーディオインターフェイスを用意します。そしてステレオのアウトのバスを2つ作成します。作成出来たら一つのバスをPAに送る用に、もう一つのバスを自分のイヤモニに送る用に設定しましょう。このあたりの作業はDAWによって違うと思いますので、ご自身のDAWで調べてみてください。
それができたらトラックを作成しましょう。僕の場合は一つの音源に対して2つトラックを作ります。そしてまったく同じ位置に同期音源を貼り付けます。そして先ほど作成したバスを割り当てます。片方は自分のイヤモニ用、片方はPAに送る用です。そしてクリックをイヤモニ側に流れるように設定するか、クリックトラックをイヤモニ側のバスに流れるように設定します(この場合はクリック用のトラックも必要なので一曲につき3トラック必要になります)。これでPA側のバスをミキサーやDIなどに繋いで音を再生したときに自分のイヤモニだけにクリックが流れ、PA側にはクリックが流れなければ完了です!!
あとは練習あるのみ
あとは練習してください(笑)
イヤモニを装着した状態での演奏はイヤモニをしていない時の演奏と大きく感覚が異なります。慣れるまでには少し時間がかかると思います。上に書いたように、クリックを聴きながらの演奏もまた慣れるまでに時間がかかると思います。また、この状態で演奏すると、遮音性の高いイヤモニを使用した場合(多くの場合はそうですが)自分の音と周りの音のモニタリングがかなり制限されることになります。この点についてはまた別の機会に書こうと思います。とにかく試行錯誤しながら同期演奏に慣れていってください。
おわりに
これが僕の同期演奏のやり方です。MTRを使った方法やiPadを使った方法など、さまざまな方法を試してきましたが、最終的にこの方法に落ち着きました。準備は今までやってきたどの方法よりも一番大変ですが、一番確実性が高く、音も良いです。同期演奏のやり方を模索している皆様の参考になれば幸いです。