2020年暮れ、恩師の訃報
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梅本啓介さんが亡くなって今日でちょうど一か月が過ぎようとしている。

梅本さん、僕や僕の周りの梅本さんの弟子たちは皆梅本さんと呼んでいた。梅本さん自身は啓介と呼ばれることにものすごく強い憧れを抱いていたらしいけどとてもじゃないが名前で呼ぶなんて。

2020年12月27日午後3時47分、兄弟子の杉やんから不在着信。僕はそのときちょうど家族ぐるみの付き合いの友人宅で夕食をいただいており、かけなおしたのは午後7時を過ぎてからだった。杉やんとしゃべること自体1年以上ぶりで、久しぶりやな何やろな仕事のことかなと特に深く考えもせずに電話をかけた。そして突然の訃報。

「梅本さんが亡くなった」
「・・・・え?」

言葉が出てこなかった。

当然人は生きていればいつかは死ぬ。でも梅本さんが今亡くなるとは全く考えていなかった。2020年の暮れになってそろそろ会いたいなあなんて呑気に考えるときはあった。でも今亡くなるなんて。あんなに色々教えてくれた梅本さんが今この世にいない?意味が分からない、そんな感じだった。

レッスンを受け始めたのは2013年頃。5年ほどレッスンを受けてその後はたまーに年に一回くらいローディーとして呼んでもらう、そんな関係だった。ここ1年以上は会っていなかった。

梅本さんとの出会いは梅泉ジャムだった。梅本さんとベーシストの泉尚也さんが主催するジャムセッションで、僕は別のジャムセッションで泉さんと知り合い、よかったら大阪でもジャムセッションしてるから来なさいと言われて参加したのが梅泉ジャムだった。Lovin' Youだったと思うけど、梅本さんのそのブラシプレイに衝撃を受けた。こんな音が奏でられるのかと、ドラムにこんな色気を出せるのかと、とにかく衝撃的でFacebookで友人申請をし、聞きたいことがあればなんでも聞いていいよと。で、僕はそのときドラムで悩んでいたことをメッセンジャーで長文で送ったらそれはそれは丁寧な長文で返信してきてくださって、なんていい人なんだと、この人にとにかくドラムを習いたいと強く思い、レッスンをお願いした。

音符について、アクセントについて、グルーヴについて、チューニングについて、スティックについて、ヘッドについて、フットワークについて、ペダルについて、グリップについて、ありとあらゆるドラムのことについて教えてくれた。僕が今ドラムレッスンをできるのは梅本さんから教わったことがあるからだ。僕が今ドラムを演奏できているのは梅本さんから教わったことがあるからだ。

それだけじゃない。

ドラムとは何か、音楽とは何か、仕事とは何か、ミュージシャンとは何か、人生とは何か、人間とは何か。僕にすべてのことを教えてくれた人だった。本当にすべてのことを。梅本さんと出会わなければドラマーとして全く今と違う方向にいただろうし、今と違う人生を歩んでいただろうし、別の人間になっていただろう。間違いなく僕の今まで出会った人の中で一番僕に影響を与えた人だと言い切れる。

もちろん僕が言わなくても何千人という弟子がいて数々の著名な共演ミュージシャンがいる人だから、僕よりもっとずっと立派な人たちが既にお悔みの言葉をささげている。でも一個人として、一ミュージシャンとして、梅本さんに敬意と感謝をささげつつ、梅本さんを偲びたい。

もっと色々言いたいような気がするけど、梅本さん、本当にありがとうございました。今は安らかにお眠りください。

 

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