テンポはゆっくりからだんだん速くするべきか?
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もくじ

はじめに

こんにちは、ドラム講師の辻川郷です(^^)
皆さんは楽器を練習するときテンポはゆっくりからだんだん上げて行きますか?
ドラムに限らず、楽器全般の練習方法でほぼ常識になっているのが「まずはゆっくりから練習してだんだんテンポを上げていこう」というもの。難しいフレーズや速いパッセージを「理解」するときには有効だと思います。バンドサウンドを整える際にもゆっくり演奏するとキメの荒さが見つかったり、他パートの演奏している内容がわかったりすると、合わせるべきところが見つかりグルーヴの向上につながる、という経験は僕も大いにあります。

技術の習得という点においてはテンポをだんだん上げていくと弊害がある

しかし、ドラムの「技術の習得」という点においてはこれは実は諸刃の剣になり得ます。なぜならゆっくりのときの叩き方と速いときの叩き方は根本的に違う場合が多いからです。今回はドラムの基本、シングルストロークとダブルストロークを例にとって解説してみたいと思います。

(ex-1)シングルストローク

まずはシングルストロークからです。とりあえず動画を見てください。

60bpmで32分音符をシングルストロークで演奏すると前腕から指先にかけて動き、ストローク幅も大きめです。対して100bpmで32分音符をシングルストロークで演奏するとほぼ指先だけの動きになっており、ストローク幅は小さくなっています。試しにこの動画の0:10と1:13を見比べてみてください。動きが全く異なるのがお分かりいただけると思います。
実際には伸筋や屈筋の関係、胸鎖関節のはたらきなどを理解することが必要になりますが、ここでは速いテンポと遅いテンポでは叩き方が全く違うということを理解していただければと思います。

(ex-2)ダブルストローク

ダブルストロークでも速いテンポと遅いテンポでは叩き方が変化します。

60bpmの32分音符では指や手首を使いますが、130bpmの32分音符だと手首や指をほとんど動かさずにリバウンドを生かしてダブルを叩きます。
これも実際には指を全く動かしていないわけではなく、指の筋肉のバネを使ってリバウンドを最大限生かす方法でダブルを叩いています。速いテンポのときでも手首を積極的に使う場合もあります。ですがここでも押さえるポイントは速いテンポと遅いテンポでは叩き方が大きく異なるということです。この動画でも0:05と1:35を見比べてみてください。全く異なる動きをしているということに気づいていただけると思います。

テンポを意識して練習することの大切さ

ゆっくり叩いたときの叩き方をそのまま速くして速いパッセージが叩けるというわけではないのです。フレーズを理解するためにゆっくりで練習するのは良いですが、速くしたときに「叩き方を変える」、これがすごく大事です。同じシングルストローク、同じダブルストロークでも速いときと遅いときでは叩き方が全く異なる。テンポによって別物を演奏していると思って練習してもいいくらいです。ゆっくりの叩き方のまま無理に速くするといとも簡単に身体を痛めしてまうこともありますので多分に注意が必要です。

まとめ

演奏する内容はテンポ以外は同じであっても、まさにそのテンポの違いによって身体の使い方が大きく異なるということを理解していただけたと思います。今回はシングルストロークとダブルストロークを例にとって紹介しましたが、これはパラディドルやフラムなどどんなフレーズやルーディメンツでも同じです。スピードアップできない、速いテンポで練習したときに痛みがあるなどのお悩みがある方は「叩き方を変える」ということを意識して練習してみてください。
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